障がい者千五百人雇用事業について

岡山県総社市に「障がい者千五百人雇用事業」について、市民福祉叙任委員会で視察に行ってきました。

総社市は人口約7万人、流入人口が多く全体で人口微増です。昨年豪雨災害のあった真備町とは隣接し、ニュースにはあまり出ませんでしたが一級河川の高梁川の氾濫の被害を受けて、現在も仮説住宅に住んでいる方がいるそうです。

総社市が障がい者の雇用について取り組みは、2008年のリーマンショックにより市内で2000人以上が失職し、障がい者支援に取り組む必要性を持ちました。その後、誘致をめざした県立支援学校が隣の倉敷市に決まったことで、支援学校を卒業した後の働く場は、総社市が担うという決意のもと、2011年に「障がい者千人雇用」を2015年までの5カ年計画としてスタートしました。ハローワークと「福祉から就労」支援協定を締結し、「就労支援ルーム」を設置し2名の市職員を常駐しました。また事業の実現のための基本的事項や市・企業・市民の役割を明文化した「障がい者千人雇用推進条例」を制定しています。2012年には「障がい者千人雇用センター」を設置し、体制を整え、2017年には障がい者の就労が1000人を超え、「障がい者千五百人雇用」事業として再スタートし、この4月1日現在では1,043人が就労しています。

1,043人の内一般就労は643人、福祉的就労は400人で、スタート時の180人から大きく伸びています。この事業に関わる経費は4億4千万円(2017度)で、そのうち就労継続支援型Aは21,334,000円、就労継続支援B型は173,573,000円となっています。また市独自事業として、福祉的就労から一般就労へ移行し6ヶ月以上経過した方に10万円を支給する「就労意向支援金制度」もあり2018年度は12名に支給されました。

この事業の成果は、障がい者の市県民税の納税者が増えたこと、障がい者の給与収入総額が増額し、社会参加も進んでいることがあげられます。一方で障がい者の平均給与収入は減少しており、対象者が増えたものの工賃等の収入が十分に上がっていない課題があります。

就労の現場は農業やガソリンスタンドでの接客などを見せてもらいました。生産した野菜は「そうじゃ地・食べ公社」を通じて販路が確保されて、市役所の庭での販売もあります。また乗り合いタクシー「雪舟くん」の活用で外出の手段の確保など他分野との政策連携が障がい者支援に相乗効果を発揮しています。

販売所でお土産を見ていた時に野菜の販売状況を見に来た作業所の皆さんは、売れている様子をみてにこやかでした。この総社市の取り組みが他の地域にも広がり、安心して地域で暮らせ社会の実現につながる事を期待します。